きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

翻訳の仕事の依頼が途切れた不安な時にすべきこと

先週の終わりころから4日間ほど、手持ちの翻訳案件がない状態が続いている。 忙しくて睡眠時間を削るくらいのときは、「この仕事が終わったら絶対に1週間くらいぐだぐだしてやる!」なんて思うのに、いざ暇になると、最初の2日間くらいはため込んでいた家事…

『傷だらけの栄光』~小さなころから犯罪に手を染め続けていた主人公がボクサーとしてチャンピオンを目指す。

あらすじ “名匠ロバート・ワイズによる破天荒な世界チャンピオンの半生記。 ニューヨーク、イーストサイドにイタリア系移民の息子として生まれたロッキー(P・ニューマン)。盗み、ケンカ、少年院からの脱走を重ね、軍隊に入隊するが上官を殴って脱走してし…

『レオン』~殺し屋のレオンに愛を与えた少女マチルダ。12歳のナタリー・ポートマンが危うく、そして愛おしい。

あらすじ “ニューヨークの片隅に立つアパートに暮らす、寡黙で孤独な男レオン(ジャン・レノ)、その正体はすご腕の殺し屋で、トニー(ダニー・アイエロ)という男の仲介を経て暗殺を行っていた。そんなある日、彼の隣室に暮らす一家をスタンフィールド(ゲ…

『地球星人』村田沙耶香 ~魔法少女である私の生きている世界は人間工場なのか。

『地球星人』 著者:村田沙耶香 発行年:2018年 あらすじ “地球では「恋愛」がどんなに素晴らしいか、若い女はセックスをしてその末に人間を生産することがどんなに素敵なことか、力をこめて宣伝している。地球星人が繁殖するためにこの仕組みを作りあげたの…

『アンストッパブル』 ~実際の列車暴走事故を題材にしたアクション映画。トニー・スコット最後の監督作品。

あらすじ “操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、整備ミスによって走り出す。大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した777号を止めるべく、鉄道会社と警察は手を尽くすが、列車はさらに加速していく。事態を察知したベテラン機関士フランク(デンゼル・…

翻訳の専門分野

実務翻訳には、IT・技術、医薬、金融など様々な分野がある。 翻訳会社に登録する時には、自分が希望する分野のトライアルを受け、合格した場合に登録することが多い。 一般的な内容のトライアルを受け、登録の際に対応できる分野を申告する場合もある。 実際…

『土の中の子供』中村文則 <新潮文庫の100冊 2018> ~親から虐待された過去を持つ27歳のタクシードライバーの心の記憶

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第9弾 『土の中の子供』 著者:中村文則 発行年:2005年 あらすじ “27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離…

『ビッグ』~大きくなりたいと遊園地のコインゲームに願った12歳の少年の願い。一夜にして大人になってしまった少年をトム・ハンクスが演じるファンタジー。

遊園地のコインゲームに「大きくなりたい」と願ったジョッシュが目を覚ますと大人になっていた… あらすじ “カーニヴァルの夜、望みをかなえる魔王のボックスにコインを入れた主人公が、翌朝目覚めると少年からオトナに成長していた。親友の協力によって玩具…

『ファーストラヴ』島本理生 ~親子のつながり。家族のつながり。他人ではないからこそ複雑で深刻な関係。

『ファーストラヴ』 著者:島本理生 発行年:2018年 あらすじ “夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動…

『マリー・アントワネット』 ~ソフィア・コッポラが美しい映像で描くマリー・アントワネットの激動の人生。

あらすじ “14歳のオーストリア皇女(キルステン・ダンスト)は、母マリア・テレジア(マリアンヌ・フェイスフル)の命令でフランス王太子(ジェイソン・シュワルツマン)に嫁ぐことになる。期待を胸に馬車に乗り込んだ彼女だったが、国境では衣装から下着ま…

『悟浄出立』万城目学 <新潮文庫の100冊 2018> ~西遊記を悟浄の視点で語る表題作など、中国古典をベースにした短編集。

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第8弾 『悟浄出立』 著者:万城目学 発行年:2014年 あらすじ “おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語――。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる…

翻訳におけるチェッカーの役割

翻訳業界には、チェッカーという仕事がある。 チェッカーの業務は、翻訳者から上がってきた訳文の内容を確認すること。 その確認内容には、訳文の解釈が間違っていないか、抜けはないか、訳語にブレはないか、数字や記号は合っているか、固有名詞は正しいか…

『豆の上で眠る』湊かなえ <新潮文庫の100冊 2018> ~子供の頃に失踪した姉と読んでいたアンデルセン童話。帰ってきた姉は本当に万佑子ちゃんなのだろうか…

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第7弾 『豆の上で眠る』 著者:湊かなえ 発行年:2014年 あらすじ “小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死…

『スティング』 ~ストーリーの面白さに時間を忘れる、コンゲームを描く名作。

あらすじ “1936年、シカゴ近郊のダウンタウン。この街に住むジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)は詐欺で日銭を稼ぐ若いイカサマ師。ある日、いつものように通行人から金を騙し取るが、相手はなんと大物ギャング、ロネガン(ロバート・ショウ)…

『陽だまりの彼女』越谷オサム <新潮文庫の100冊 2018> ~中学の時の初恋の相手との10年ぶりの出会い。好きな人と一緒にいたいという単純な気持ちの大切さが心に染みる物語。

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第6弾 『陽だまりの彼女』 著者:越谷オサム 発行年:2008年 あらすじ “幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げてい…

『イノセント・デイズ』早見和真 <新潮文庫の100冊 2018> ~死刑囚となった幸乃は本当に罪を犯していたのか。判決文とともに明かされていく事件の真相とは。

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第5弾 『イノセント・デイズ』 著者:早見和真 発行年:2014年 あらすじ “殺されたのは三人だった。幸乃の元恋人だった男の妻とまだ一歳の双子の姉妹。なぜあの夜、火は放たれたのか? たったひとり幸乃の無実を信じ、最後まで…

原書で読むか、訳書で読むか

小説を読むのが趣味なわたし。 日本人作家の本は、新聞や雑誌の書評欄や広告などをみて面白そうなものをメモしたりするが、それだけでは偏ってしまうので、直木賞や芥川賞、本屋大賞などにノミネートされた本は、自分の好みかどうかはわからなくても読んでみ…

在宅での翻訳作業環境と実際の翻訳作業

翻訳作業に欠かせないのがパソコンとネット環境。 実際の仕事をする際は、守秘義務があり(翻訳会社の登録時に契約を交わす)、情報が洩れてはいけないので、自宅以外で作業をすることはない。 カフェで仕事なんてかっこいいなぁとは思うけれど、客先から提…

『最後の証人』柚月裕子 ~元検察官の佐方は被告が無罪を主張する裁判の弁護を引き受ける。その裁判の証人によって明かされる真実とは。

『最後の証人』 著者:柚月裕子 発行年:2010年 あらすじ “検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。現場の状況証拠などから被告人は有罪が濃厚とされていた。…

『たゆたえども沈まず』原田マハ ~19世紀の終わりのパリ。浮世絵を扱う日本人画商とゴッホや弟のテオとの心の交流。

ゴッホと日本人の心のつながり 『たゆたえども沈まず』 著者:原田マハ 発行年:2017年 あらすじ “誰も知らない、ゴッホの真実。 天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、商才溢れる日本人画商・林忠正。 二人の出会いが、〈世界を変える一枚〉を生んだ。 …

金融翻訳者が取っておくと役に立つ(と思われる)資格

翻訳を仕事にする上で、資格は特に必要はない。 しかし、原稿の背後にある知識がないと、誤訳やミスにつながる。 例えば金融関連の翻訳であれば、銀行や証券会社などの金融機関に務めた経験は貴重な「売り」になるが、業界での勤務経験がなくても、それを補…

『スケルトン・キー』道尾秀介 ~サイコパスを描くダークサイドのサスペンス

児童養護施設で育った僕には、母からスケルトン・キーだけが残されていた… 『スケルトン・キー』 著者:道尾秀介 発行年:2018年 あらすじ “僕に近づいてはいけない。 あなたを殺してしまうから。 週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。…

『傍流の記者』本城雅人 ~新聞記者たちのプライドと出世を描いた「The 男社会」な物語

『傍流の記者』 著者:本城雅人 発行年:2018年 あらすじ “優秀な記者ばかりがそろった黄金世代。しかし、社会部長になれるのはひとりだけだった。生き残っているのは得意分野が違う五人の男。部下の転職や妻との関係、苦悩の種に惑いながら出世レースは佳境…

『ニュー・シネマ・パラダイス』 ~冒頭のテーマ曲だけで涙がでてくる私の all time best

イタリアの田舎町の映画館。トトとアルフレードの友情… あらすじ “シチリア島の小さな村にある映画館・パラダイス座。親の目を盗んではここに通いつめる少年トトは、大の映画好き。やがて映写技師の老人アルフレードと心を通わせるようになり、ますます映画…

『屍人荘の殺人』今村昌弘 ~本格ミステリ好きには評判の第27回鮎川哲也賞受賞作。しかし私には…

『屍人荘の殺人』 著者:今村昌弘 発行年:2017年 あらすじ “神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメ…

翻訳作業のスケジュール管理と売上管理

フリーランスで仕事をする上でスケジュール管理は非常に大切な要素であり、それは当然ながら、わたしの様な在宅の実務翻訳者にも当てはまる。 登録している翻訳会社が複数あるので、仕事の依頼が重なることはよくある。 仕事の依頼を受けた時に、自分がどの…

『貘の檻』道尾秀介 <新潮文庫の100冊 2018> ~読み終わった後に暗い地下水路や田舎の景色が頭から抜けていかない闇深いミステリー

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第4弾 『貘の檻』 著者:道尾秀介 発行年:2017年 あらすじ “1年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、…

翻訳はかっこいい仕事ではない

仕事を尋ねられた時に、在宅のフリーランスで翻訳の仕事をしていると答えると、「かっこいい」とか「優雅だねぇ」などと言われることが多い。 しかし、現実はまったくかっこいいものではなく、納期が迫っている時には何日間も一歩も家から出ることなく、すっ…

『百貨の魔法』村山早紀 ~百貨店を舞台にした人と人とのつながりを柔らかに描いた物語

百貨店で繰り広げられる、人と人との優しいつながり。 『百貨の魔法』 著者:村山早紀 発行年:2017年 発行元:ポプラ社 あらすじ “時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品…

『危険なビーナス』東野圭吾 ~設定に無理があるような気がしても、それでもいつものように一気読みしてしまう、さすがな東野圭吾作品

あらすじ “弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である弟の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てば経つほど、彼女に惹かれていく。” 出典元:講談社 危険なビーナ…