きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

読書

『Red』島本理生 ~危うすぎて、読んでいて不安になる

『Red』 著者:島本理生 発行年:2017年 // リンク 解説 “元恋人との快楽に溺れ抑圧から逃れようとする塔子。その先には、どんな結末が待っているのだろう――。『ナラタージュ』の著者が官能に挑んだ最高傑作!” 出典元:中央公論新社 感じたこと 『ナラター…

『火のないところに煙は』芦沢央 ~ホラーはそんなに好きじゃないけど…

『火のないところに煙は』 著者:芦沢央 発行年:2018年 // あらすじ “「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にするこ…

『信長の原理』垣根涼介 ~信長、秀吉、家康、そして光秀。

『信長の原理』 著者:垣根涼介 発行年:2018年 // あらすじ “吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった――…

『野火』大岡昇平 <新潮文庫の100冊> ~戦争の残酷さを改めて感じる

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第44弾 『野火』 著者:大岡昇平 発行年:1954年 // あらすじ “敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢…

『檸檬』梶井基次郎 <新潮文庫の100冊> ~本棚に檸檬、という視覚的な美しさ

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第43弾 『檸檬』 著者:梶井基次郎 発行年:1967年 // あらすじ “31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の…

『ソロモンの偽証』宮部みゆき <新潮文庫の100冊> ~同級生の死に対して行動を起こす高校生の強さ

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第42弾 『ソロモンの偽証』 著者:宮部みゆき 発行年:2012年 // あらすじ “二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒達を差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、クラスメイトはなぜ死んだのか。…

『白いしるし』西加奈子 <新潮文庫の100冊> ~自分の意思ではどうにもならない感情

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第41弾 『白いしるし』 著者:西加奈子 発行年:2013年 // あらすじ “女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に…

『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき ~安定の杉村三郎シリーズ

『昨日がなければ明日もない』 著者:宮部みゆき 発行年:2018年 // あらすじ “『希望荘』以来2年ぶりの杉村三郎シリーズ第5弾となります。中篇3本を収録する本書のテーマは、「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの…

『さざなみのよる』木皿泉 ~意外な構成にびっくりしながら引き込まれた

『さざなみのよる』 著者:木皿泉 発行年:2018年 // あらすじ “小国ナスミ、享年43。 宿り、去って、やがてまたやって来る――。 命のまばゆいきらめきを描いた、感動と祝福の物語。 「今はね、私がもどれる場所でありたいの。 誰かが、私にもどりたいって…

『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる』幡野広志 ~親として自分のありたい姿が見える

『ぼくが子供のころ、ほしかった親になる』 著者:幡野広志 発行年:2018年 // あらすじ “ガン(多発性骨髄腫)で余命宣告を受けた35歳の父が、2歳の息子に伝えたい大切なこと。 1 優しさについて、ぼくが息子に伝えたいこと 2 孤独と友だちについて、息子に…

『熱帯』森見登美彦 ~マトリョーシカのように幾重にも重なる不思議な話

『熱帯』 著者:森見登美彦 発行年:2018年 // あらすじ “沈黙読書会で見かけた『熱帯』は、なんとも奇妙な本だった。 謎の解明に勤しむ「学団」に、神出鬼没の「暴夜(アラビヤ)書房」、鍵を握るカードボックスと「部屋の中の部屋」――。 幻の本を追う旅は…

『あつあつを召し上がれ』 小川糸 <新潮文庫の100冊> ~おいしい食べ物には、いろいろな思い出がつまっている

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第40弾 『あつあつを召し上がれ』 著者:小川糸 発行年:2014年 // あらすじ “この味を忘れることは、決してないだろう――。10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。幼い頃に、今は亡き母から伝…

『ひとつむぎの手』 知念実希人 ~ミステリーというよりも、人との関わりに悩み試行錯誤していく医者の物語

『ひとつむぎの手』 著者:知念実希人 発行年:2018年 // あらすじ “大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば……。…

『いなくなれ、群青』河野裕 <新潮文庫の100冊> ~捨てられた人だけが暮らす島

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第39弾 『いなくなれ、群青』 著者:河野裕 発行年:2014年 // あらすじ “11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凜々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定していた僕の高校生活…

『西の魔女が死んだ』梨木香歩 <新潮文庫の100冊> ~題名だけで魔法使いの話だと思っていたら、日常に潜む人の心の温かさをにじませた話だった

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第38弾 『西の魔女が死んだ』 著者:梨木香歩 発行年:2008年 // あらすじ “中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女…

『たんぽぽ団地のひみつ』重松清 <新潮文庫の100冊> ~ドラマの舞台になった団地の取り壊しにまつわる人々の不思議な体験

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第37弾 『たんぽぽ団地のひみつ』 著者:重松清 発行年:2018年 たんぽぽ団地のひみつ posted with ヨメレバ 重松 清 新潮社 2018年06月28日 楽天ブックス Amazon あらすじ “取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生…

『人斬り以蔵』 司馬遼太郎 <新潮文庫の100冊> ~大河ドラマを思い浮かべながら読んでしまう…

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第36弾 『人斬り以蔵』 著者:司馬遼太郎 発行年:1969年 人斬り以蔵改版 posted with ヨメレバ 司馬遼太郎 新潮社 2004年12月 楽天ブックス Amazon あらすじ “自己流の暗殺剣法を編み出し、盲目的な殺し屋として幕末の世を震…

『ケーキ王子の名推理』『ケーキ王子の名推理2』七月隆文 <新潮文庫の100冊> ~少女漫画を読んでいるかのようなライトノベル

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第34、35弾 『ケーキ王子の名推理』『ケーキ王子の名推理2』 著者: 七月隆文 発行年:2015年、2017年 ケーキ王子の名推理 posted with ヨメレバ 七月隆文 新潮社 2015年10月28日 楽天ブックス Amazon ケーキ王子の名推理2 pos…

『ひと』 小野寺史宜 ~ひとのぬくもりを感じて生きていく

『ひと』 著者: 小野寺史宜 発行年:2018年 ひと posted with ヨメレバ 小野寺史宜 祥伝社 2018年04月11日 楽天ブックス Amazon あらすじ “母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。 女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東…

『一日江戸人』 杉浦日向子 <新潮文庫の100冊> ~江戸時代の文化や暮らしをのぞき見

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第33弾 『一日江戸人』 著者: 杉浦日向子 発行年:2005年 一日江戸人 posted with ヨメレバ 杉浦日向子 新潮社 2005年04月 楽天ブックス Amazon あらすじ “現代の江戸人・杉浦日向子による、実用的かつ、まことに奥の深い江戸…

『青の数学』王城夕紀 <新潮文庫の100冊> ~数学に魅せられた若者たちの想い

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第32弾 『青の数学』 著者: 王城夕紀 発行年:2016年 青の数学 posted with ヨメレバ 王城 夕紀 新潮社 2016年07月28日 楽天ブックス Amazon あらすじ “雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。そ…

『宝島』 真藤順丈 ~戦後の沖縄を生き抜く若者たちの姿

『宝島』 著者:真藤順丈 発行年:2018年 宝島 posted with ヨメレバ 真藤 順丈 講談社 2018年06月21日 楽天ブックス Amazon あらすじ “希望を祈るな。立ち上がり、走り出せ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、恋人との愛を。美…

『精霊の守り人』上橋菜穂子 <新潮文庫の100冊> ~チャグムを守り抜くバルサが魅力的

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第31弾 『精霊の守り人』 著者: 上橋菜穂子 発行年:1996年 精霊の守り人 posted with ヨメレバ 上橋菜穂子/二木真希子 偕成社 2006年11月 楽天ブックス Amazon あらすじ “女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャ…

『神様のボート』江國香織 <新潮文庫の100冊> ~母の恋愛、娘の自立

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第30弾 『神様のボート』 著者:江國香織 発行年:2002年 神様のボート posted with ヨメレバ 江國香織 新潮社 2002年07月 楽天ブックス Amazon あらすじ “昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“…

『残穢』小野不由美 <新潮文庫の100冊> ~伝播する「穢れ」が引き起こす怪奇現象

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第29弾 『残穢』 著者:小野不由美 発行年:2015年 残穢 posted with ヨメレバ 小野不由美 新潮社 2015年07月29日 楽天ブックス Amazon あらすじ “この家は、どこか可怪(おか)しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る…

『くちぶえ番長』重松清 <新潮文庫の100冊> ~小学4年生のクラスに転校してきたマコトとちょっと気の弱いツヨシの友情物語

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第28弾 『くちぶえ番長』 著者:重松清 発行年:2007年 くちぶえ番長 posted with ヨメレバ 重松清 新潮社 2007年07月 楽天ブックス Amazon あらすじ “小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコト…

『山月記』中島敦 ~虎になってしまった李徴に重なる部分を心に抱える人は多いのでは

『山月記』 著者:中島敦 発行年:1942年 李陵/山月記改版 posted with ヨメレバ 中島敦 新潮社 2003年12月 楽天ブックス Amazon あらすじ “詩人をめざしながら、その尊大な性格のために自らの才能を磨くことを怠った李徴は、月に咆哮する虎と化す…。” 出典…

『ノーマンズランド』誉田哲也 ~姫川玲子シリーズ最新作

『ノーマンズランド』 著者:誉田哲也 発行年:2017年 あらすじ “またしても同僚の殉職を経験し、心身に疲弊の残る姫川玲子が入ったのは、葛飾署管内で起こった若い女性の殺人事件捜査本部。心機一転、捜査に集中する玲子だったが、すぐに行き詰まってしまう…

『村上海賊の娘』和田竜 <新潮文庫の100冊> ~村上海賊の当主の娘、景の勇気ある合戦

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第27弾 『村上海賊の娘』 著者:和田竜 発行年:2016年 村上海賊の娘(第1巻) posted with ヨメレバ 和田竜 新潮社 2016年06月28日 楽天ブックス Amazon あらすじ “時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊――…

『ミッキーマウスの憂鬱』松岡圭祐 <新潮文庫の100冊> ~ディズニーランドのバックステージを覗くことができる、さらっと読める作品

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第26弾 『ミッキーマウスの憂鬱』 著者:松岡圭祐 発行年:2008年 ミッキーマウスの憂鬱 posted with ヨメレバ 松岡圭祐 新潮社 2008年09月 楽天ブックス Amazon あらすじ “東京ディズニーランドでアルバイトすることになった2…