きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『Red』島本理生 ~危うすぎて、読んでいて不安になる

『Red』 著者:島本理生 発行年:2017年 // リンク 解説 “元恋人との快楽に溺れ抑圧から逃れようとする塔子。その先には、どんな結末が待っているのだろう――。『ナラタージュ』の著者が官能に挑んだ最高傑作!” 出典元:中央公論新社 感じたこと 『ナラター…

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』~実際に起きたヒトラーの暗殺計画を描くドイツ映画

あらすじ “1939年11月8日、ドイツ・ミュンヘンでナチス指導者のヒトラーの演説が行われた。演説を予定よりも早く終わらせ退場したヒトラーだったが、その直後、会場が爆破される。逮捕されたのは、ゲオルグ・エルザー(クリスティアン・フリーデル)という男…

『ラストベガス』~そうそうたる俳優4人の競演

あらすじ “58年来の親友同士であるビリー(マイケル・ダグラス)とパディ(ロバート・デ・ニーロ)、アーチー(モーガン・フリーマン)とサム(ケヴィン・クライン)。彼らの中で唯一独身のビリーが年下の恋人と結婚することになり、仲間たちがラスベガスに…

『椿三十郎』~私でも知っている俳優さんたちの若き姿にびっくり!

解説 “凄腕の浪人が、上役の不正を暴こうと立ち上がった9人の若侍に助太刀する痛快アクション時代劇。三船扮する三十郎は前作の「用心棒」から通ずるキャラクターながらこちらのほうがより人間味が増し、ユーモアと知略が強調されている。薄暗い社殿で密議を…

『ジェシー・ジェームズの暗殺』~近寄りがたい、あこがれのアウトロー

あらすじ “悪名高きアウトローとして数々の犯罪に手を染め、法をあざけり、自分自身のルールで生きてきたジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)。理想に燃える野心家の若者ロバート・フォード(ケイシー・アフレック)は、そんなジェシーの仲間になれた…

『カリートの道』~アル・パチーノってマフィア似合うよね…

あらすじ “かつて街を牛耳り麻薬の帝王として君臨したカリートが刑務所から帰って来て見たものは、以前には闇の世界にもあった仁義やルールが時の流れと共に姿を消し、今や殺伐とした雰囲気に変貌していた街の姿だった。今度帰ってきたら待っていてくれた恋…

『フェリスはある朝突然に』~80年代のうきうきした感じ

あらすじ “快晴のシカゴ。サボりの常習犯である高校生フェリスはこの日、仮病でズル休みすることに。そして、彼の姉や校長をイラ立たせ校内も騒然とする中、フェリスは病欠している金持ちの親友キャメロンを誘い、車で街へと繰り出していく。さらにはフェリ…

『王になろうとした男』~現実味がない話だけど、冒険物語としては面白かった

あらすじ “秘境カフィリスタンに富を求めて旅立った二人の男、ドレイポットとカーニハン。彼らはヒマラヤを越え、未開の部族に英国式の軍事訓練を施した。その軍隊を使って、彼らはカフィリスタンを次々と平らげていく。そして、ドレイポットの胸にかけられ…

『エド・ウッド』~モノクロのティム・バートン作品だけど…

あらすじ “実在の映画監督で、“史上最低の監督”と謳われた、エドワード・D・ウッド・ジュニア--通称エド・ウッドの伝記的作品。50年代のハリウッド。スタジオの片隅で使い走りをしながら、映画監督になる日を夢見て働いていた映画青年エドは、ある日業界誌…

『ワールド・ウォーZ』~ストーリーはさておき、ものすごい迫力で、それだけでも見る価値はある

解説 “ベストセラーを記録した、マックス・ブルックスの小説を実写化したパニック大作。人間を凶暴化させる未知のウイルスの感染原因を解き明かそうと、感染者と非感染者の死闘が繰り広げられる世界各地を駆ける元国連捜査官の姿を、息詰まるタッチで活写す…

『生きる』~主人公がブランコで歌を歌う有名なシーンに、いろいろなことを考えさせられた

あらすじ “市役所の市民課長・渡辺は30年間無欠勤、事なかれ主義の模範的役人。ある日、渡辺は自分が胃癌で余命幾ばくもないと知る。絶望に陥った渡辺は、歓楽街をさまよい飲み慣れない酒を飲む。自分の人生とは一体何だったのか……。渡辺は人間が本当に生き…

『リバー・ランズ・スルー・イット』~美しい自然の中で描かれた家族のつながり

あらすじ “まじめな兄ノーマンと、自由闊達な弟ポールは、対照的な兄弟であったが、フライ・フィッシングにだけは共通の想いがあった……。「普通の人々」のR・レッドフォードが「ミラグロ/奇跡の地」に続き三度目の監督を手掛けた作品。1912年のモンタナ州の…

『あの頃ペニー・レインと』~いいな、青春。

あらすじ “「セイ・エニシング」「ザ・エージェント」のキャメロン・クロウ監督が自身の体験を基に、ブレイク寸前のロックバンドのツアーの同行取材を任された15歳の少年の姿を描いた青春音楽ムービー。少年が恋するグルーピーの少女を演じるのはゴールディ…

『火のないところに煙は』芦沢央 ~ホラーはそんなに好きじゃないけど…

『火のないところに煙は』 著者:芦沢央 発行年:2018年 // あらすじ “「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にするこ…

『ギャンブラー』~暗い画面に眠たさが…

あらすじ “雪深い北西部の鉱山町にやって来た賭博師マッケイブが、坑夫相手の女郎屋の建設を始める。女たちを引き連れてきたミラー夫人と共同経営することになった宿屋は好評を博するが、この地に新たな鉱脈がある見込んだ不動産業者が店の買収に現れた……。”…

『陽のあたる場所』~若き日のエリザベス・テイラー、さすがの美しさ。

あらすじ “貧しい家庭で育った青年ジョージ・イーストマン。出世欲の強い彼はある時、工場を経営する叔父のもとで働くことに。やがて、彼は社交界で令嬢アンジェラと出会い、惹かれ始める。また一方で、同僚のアリスとも親密になる。そして彼女はジョージの…

『信長の原理』垣根涼介 ~信長、秀吉、家康、そして光秀。

『信長の原理』 著者:垣根涼介 発行年:2018年 // あらすじ “吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった――…

『ザ・ファーム/法律事務所』~ジョン・グリシャムの原作との違いを味わいたくなる

あらすじ “原作は800万部以上の大ベストセラー小説を元にしたT・クルーズ主演の法律サスペンス。全米でもトップクラスの法律学校を優秀な成績で卒業したミッチは、ある法律事務所からの内定を受け取る。数いる優秀な生徒の中からたった一人自分にだけ白羽の…

『七人の侍』~世界のクロサワ。とっても長いのに、最後まで面白い!

あらすじ “戦国時代の貧しい農村を舞台に、野盗と化した野武士に立ち向かうべく農民に雇われた侍たちの闘いを描いた作品。言わずと知れた黒澤明監督による日本映画を代表する傑作のひとつ。麦の刈入れが終わる頃。とある農村では野武士たちの襲来を前に恐怖…

『48時間』~ニック・ノルティとエディ・マーフィのコンビが自然で面白い

解説 “野外労働中の囚人が、仲間の助けを得て脱走した。犯人に相棒を殺された刑事ジャックは、彼らとつながりのある、服役中の黒人レジーに捜査協力を求める。48時間の仮釈放という条件で、二人は凶悪犯の追跡に当たるが……。ストーリーその物よりも、ノル…

『地獄の黙示録』~同じ国民の暗殺命令を受けるという戦争の狂気

解説 “ジャングル奥地に自分の王国を築いた、カーツ大佐の暗殺を命じられるウィラード大尉。道中、様々なベトナム戦争の惨状を目の当たりにしながら、ウィラードは4人の部下と共に哨戒艇で川を上っていく……。ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』を基に、コッ…

『野火』大岡昇平 <新潮文庫の100冊> ~戦争の残酷さを改めて感じる

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第44弾 『野火』 著者:大岡昇平 発行年:1954年 // あらすじ “敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢…

『檸檬』梶井基次郎 <新潮文庫の100冊> ~本棚に檸檬、という視覚的な美しさ

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第43弾 『檸檬』 著者:梶井基次郎 発行年:1967年 // あらすじ “31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の…

『ソロモンの偽証』宮部みゆき <新潮文庫の100冊> ~同級生の死に対して行動を起こす高校生の強さ

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第42弾 『ソロモンの偽証』 著者:宮部みゆき 発行年:2012年 // あらすじ “二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒達を差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、クラスメイトはなぜ死んだのか。…

『ジャッカルの日』~大統領暗殺を狙うスナイパーとそれを追う警察

あらすじ “ドゴール大統領暗殺をもくろむ“ジャッカル”という名の男を描いたフレデリック・フォーサイスの同名ベストセラー小説の映画化。暗殺に向けて用意周到に行われる準備とパリ警察の地道な捜査をリアリティたっぷりなディティールで克明に描いた社会派…

『白いしるし』西加奈子 <新潮文庫の100冊> ~自分の意思ではどうにもならない感情

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第41弾 『白いしるし』 著者:西加奈子 発行年:2013年 // あらすじ “女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に…

『ブリッジ・オブ・スパイ』~トム・ハンクスって弁護士役が似合うなぁ…

あらすじ “アメリカとソ連が一触即発の冷戦状態にあった1950~60年代。ジム・ドノヴァンは、保険の分野で実直にキャリアを積み重ねてきた弁護士だった。ソ連のスパイの弁護を引き受けたことをきっかけに、世界平和を左右する重大な任務を委ねられる。それは…

フェルメール展

先日、大阪市立美術館で開催されているフェルメール展に行ってきた。 開催当初から気になっていたのになかなかタイミングが合わなかったのだけれど、なんとか時間が取れた。 平日のお昼時とはいえ、なかなかの人。 現存するフェルメールの作品は35点ほどで、…

『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき ~安定の杉村三郎シリーズ

『昨日がなければ明日もない』 著者:宮部みゆき 発行年:2018年 // あらすじ “『希望荘』以来2年ぶりの杉村三郎シリーズ第5弾となります。中篇3本を収録する本書のテーマは、「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの…

『さざなみのよる』木皿泉 ~意外な構成にびっくりしながら引き込まれた

『さざなみのよる』 著者:木皿泉 発行年:2018年 // あらすじ “小国ナスミ、享年43。 宿り、去って、やがてまたやって来る――。 命のまばゆいきらめきを描いた、感動と祝福の物語。 「今はね、私がもどれる場所でありたいの。 誰かが、私にもどりたいって…