きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『傍流の記者』本城雅人 ~新聞記者たちのプライドと出世を描いた「The 男社会」な物語

 

 

『傍流の記者』

著者:本城雅人

発行年:2018年

 

 

あらすじ

“優秀な記者ばかりがそろった黄金世代。しかし、社会部長になれるのはひとりだけだった。生き残っているのは得意分野が違う五人の男。部下の転職や妻との関係、苦悩の種に惑いながら出世レースは佳境を迎えるが、会社が倒れかねない大スキャンダルが男たちを襲う。組織を守るか、己を守るか、それとも正義をとるか。勝つのは、誰だ?”

出典元:新潮社

 

感じたこと

直木賞候補作。

 

登場人物が新聞記者の話はこれまでもいくつも読んできたし、記者という仕事の厳しさに憧れる部分もあるので、一気読みに近い形で読み終えた。

 

新聞記者の話というよりは、一般企業の出世争いの話と変わらないように感じた。

 

いくつかあるエピソードの中でも「選抜の基準」は面白かった。

地方で経験を積んできた若手をどのような基準で自分の部署に選ぶのか。

野球のドラフトみたいな方式が実際に企業でも行われているのだろうか。

自分だったら誰を選ぶんだろうなんて考えながらページをめくった。

 

新聞記者の仕事は身体的・精神的に非常に厳しそうなので、現実でも女性の割合が少ないのだろうか。

読みながら、新聞社は男社会で出世も男にしか関係のないこと、みたいな雰囲気を感じて、なんだか居心地が悪い感じがしたけれど、きっと実際にそうなんだろうな。

 

わたし自身が企業の中での出世に全く興味がないので感情移入できなかったけれど、大企業のサラリーマンが読むと、身につまされる部分がたくさんありそう。

 

この作者の過去の作品である『ミッドナイト・ジャーナル』も今度読んでみようと思う。