『スケルトン・キー』道尾秀介 ~サイコパスを描くダークサイドのサスペンス
児童養護施設で育った僕には、母からスケルトン・キーだけが残されていた…
『スケルトン・キー』
著者:道尾秀介
発行年:2018年
あらすじ
“僕に近づいてはいけない。 あなたを殺してしまうから。
週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、“もう一人の僕”にならずにすむからだ。昔、児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。僕のような人間を、サイコパスと言うらしい。
ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――。”
出典元:カドカワ
感じたこと
ダークなサイコパスの犯罪が描かれるんだろうなぁと思いながら読み進めていると、途中から意外な展開で、一気に読了。
設定が強引だなと感じる部分も多かったけれど、本人が「自分はサイコパスらしい」と自覚しながら、その残虐性が現れないように薬まで飲みながら生活する主人公の気持ちがきちんと描かれていた。
先日読んだ『貘の檻』よりも入り込みやすかったのは、舞台が都会で、身近だったからだろうか。
ダビンチのモナリザの例を出しながら、脳科学の知識について触れている部分も面白かった。
単行本の帯に‘道尾作品史上もっともダークな制御不能のノンストップ・サスペンス’と書かれているように、スピード感のある話だった。
この作品で暗い話を味わったので、次は違う作者のほっこりしたあたたかな作品を読もうかな…