『貘の檻』道尾秀介 <新潮文庫の100冊 2018> ~読み終わった後に暗い地下水路や田舎の景色が頭から抜けていかない闇深いミステリー
新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第4弾
『貘の檻』
著者:道尾秀介
発行年:2017年
あらすじ
“1年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、父に殺されたはずの女が、なぜ――。だが次の瞬間、彼女は電車に撥ねられ、命を落とす。辰男は俊也を連れてO村を訪れることを決意。しかしその夜、最初の悪夢が……。薬物、写真、地下水路。昏(くら)い迷宮を彷徨(さまよ)い辿り着く、驚愕のラスト。道尾史上最驚の長編ミステリー!”
出典元:新潮社
感じたこと
物語全般に感じる、田舎にある古民家の薄暗い土間のような、淀んだ空気。
主人公の辰男の抱える、人生へ絶望感。
ミステリーなんだけど、読み進めていくうちに、犯人探しが単なる目的ではなくなって、辰男の抱える闇のうねりに一緒に巻き込まれていく感じがした。
薬の影響なのか、自分の抱えるそれまで押さえつけてきた記憶なのか、現実と記憶と夢が混乱していく様子。
一気読みするとか、次が気になって仕方がないとかいうものではなく、ゆるりゆるりと読み進めて、読後に少し重苦しさが残る感じ。
新刊の『スケルトン・キー』も気になっているので、こちらも早く読んでみたい。