きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

翻訳の専門分野

 

実務翻訳には、IT・技術、医薬、金融など様々な分野がある。

 

翻訳会社に登録する時には、自分が希望する分野のトライアルを受け、合格した場合に登録することが多い。

一般的な内容のトライアルを受け、登録の際に対応できる分野を申告する場合もある。

 

実際に仕事をする上で、その分野の知識がなければ誤訳を生む原因となりかねない。

 

自分が専門とする分野の選択に迷う場合、社会人経験があるのであれば、その時の職種に近いものを選ぶことが多いだろう。

ベースができているので、そこから知識を発展させやすい。

 

また、将来的に長く続けるには、自分の一番興味がある分野に決めるのも良いと思う。

翻訳雑誌などでは、まったく医学知識のない人でも勉強を重ねてプロとなった人の例も紹介されている。

しかしそのためには、自分でしっかりと知識を積み上げプロになるという力強い意思が必要となるだろう。

 

実際に翻訳を受注するようになってからも、自分の知識を広げていくことは非常に重要であるし、常に勉強が必要になる。

 

例えば私は、ファンドの運用報告書や、ファンドの内容について書かれた機関投資家向け資料などの翻訳を受けることがよくある。

 

ファンドや金融、証券などの知識が必要なのはもちろんだが、そのファンドが扱う分野、例えばエネルギーやSDGs(持続可能な開発目標)についての知識が必要になる場合もあるし、ある地域を対象としたレポートの場合はそれぞれの国の情勢や文化などについての調査に時間を費やすことも多い。

 

知識があれば原文の理解や調査にかかる時間が短くなり、作業効率があがるという面も大切ではあるけれど、それだけではなく、新しいことを知るきっかけとなり、知識欲が湧いてくる。それがまた新しい分野の仕事を受注するベースとなり、好循環となっていく。

 

特別なバックグラウンドがなくても、ものすごく文章が上手だったりコピーライティングができるような人であれば、それが売りになったりする場合もあるが、やはりまずは専門となる分野を決めて、翻訳の勉強とその分野の勉強でベースをつくり、そこから発展させていく方が確実なステップアップにつながるだろう。

 

新しいことを常に学んでいきたいと思う人には翻訳はとても楽しい仕事だと思う。

逆にそうでなければ、良い翻訳を届けたいという気持ちを維持しながら仕事を続けていくことは難しいのではないだろうか。

 

次は何を知ることができるのか。新しい仕事を受けるたびにワクワクする気持ちを持ち続けていたい。