きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『豆の上で眠る』湊かなえ <新潮文庫の100冊 2018> ~子供の頃に失踪した姉と読んでいたアンデルセン童話。帰ってきた姉は本当に万佑子ちゃんなのだろうか…

 

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第7弾

 

『豆の上で眠る』

著者:湊かなえ

発行年:2014年

  

あらすじ

“小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微(かす)かな違和感を抱き続けている。――お姉ちゃん、あなたは本物なの? 辿り着いた真実に足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー。”

出典元:新潮社

 

 

感じたこと

 アンデルセン童話のひとつ、『えんどうまめの上にねたおひめさま』をよく読んでいた姉妹。それがこの小説の題名につながっているのだけれど、この小説の中で主人公がずっと気になっていてむずむずするしこりの様なものを端的に表していて、すごい。

 

一粒のえんどう豆の上に羽根布団を何枚もしいて、その上に一晩寝た時に、「本当のお姫さま」なら布団の下になにかあることに気付くはずだというこのアンデルセン童話のことは、この小説を読むまで知らなかった。お姫さまだからってそんな…とつっこみたくなる童話だけれど、主人公である結衣子の気持ちとリンクしていく。

 

結衣子が「姉」、「万佑子ちゃん」と使い分けながら語っていくところなどは、何かがあるはずだ、それは何だろうと考えながらぐいぐい引き込まれていく。

 

 

母親が万佑子ちゃんを探すために結衣子を利用する場面などは、他の湊かなえの作品でも描かれている母と娘のねじ曲がった関係性が描かれていて、ぞくっとする。

 

湊かなえ作品はおそらくほとんど読んでいるけれど、どの作品も話の展開に夢中になって、一気読みしている。

 

映像化されている作品も多く、『告白』や『Nのために』、『白ゆき姫殺人事件』などは映像化作品も面白かった。

 

有名どころではないもので読んでいないものもあるので、また他の作品も読んでみようと思う。