『土の中の子供』中村文則 <新潮文庫の100冊 2018> ~親から虐待された過去を持つ27歳のタクシードライバーの心の記憶
新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第9弾
『土の中の子供』
著者:中村文則
発行年:2005年
あらすじ
“27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。理不尽に引きこまれる被虐体験に、生との健全な距離を見失った「私」は、自身の半生を呪い持てあましながらも、暴力に乱された精神の暗部にかすかな生の核心をさぐる。人間の業と希望を正面から追求し、賞賛を集めた新世代の芥川賞受賞作。”
出典元:新潮社
感じたこと
子供の頃の記憶って、その人の奥深くにずっととどまっているものだろう。
大きくなっても。消してしまいと望んでも。
主人公や彼女である白湯子の抱えるつらさも、本人にはどうにもできない。
芥川賞の候補になるような純文学は私にはとっつきにくいことが多くて、読み進めることさえ厳しいことがあるのだけれど、この作品は読みにくさはなかった。
主人公の心の動き、ゆれる不安定な感情に読み手も巻き込まれていく感じ。
中村文則作品では以前『教団X』を読んだことがある。こちらの方が読みやすかったかな。