きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『傷だらけの栄光』~小さなころから犯罪に手を染め続けていた主人公がボクサーとしてチャンピオンを目指す。

 

あらすじ

“名匠ロバート・ワイズによる破天荒な世界チャンピオンの半生記。

ニューヨーク、イーストサイドにイタリア系移民の息子として生まれたロッキー(P・ニューマン)。盗み、ケンカ、少年院からの脱走を重ね、軍隊に入隊するが上官を殴って脱走してしまう。逃亡中の資金稼ぎに始めたボクシングで連勝を重ねるが、軍法会議により1年間の重労働を課せられることになる。そこでボクシングのトレーニングを積み、出所後はプロボクサーとしてキャリアを重ねていく。

生活を支えてくれる妻ノーマ(P・アンジェリ)と子にも恵まれ、世界チャンピオンとの再戦を控えたある日、昔の知り合いから八百長をもちかけられる…貧しい生活からのし上がり、ミドル級のタイトルを獲るまでに至った実在のボクサー、ロッキー・グラジアノの型破りな人生をポール・ニューマンが迫真の演技で演じる。アカデミー賞撮影賞・美術賞受賞作品。”

出典元:Amazon

 

作品情報

原題:Somebody Up There Likes Me

監督:ロバート・ワイズ

出演:ポール・ニューマン

ピア・アンジェリ

公開:1956年

 

感じたこと

 

1956年の映画ということで、見ながら退屈に感じたりしないかなとちょっと不安になりながら見たけれど、全然心配はいらなかった。

 

ポール・ニューマンといえば、『スティング』に出ていたくらいの中年以降のイメージしかなくて、こんなとんがった若者を演じるタイプだったとは知らなかった。

 

事故でなくなってしまったので変更になったが、本当はジェームス・ディーンが演じるはずだったというのが非常に納得できる役どころ。

 

主人公のロッキーは酒におぼれた元ボクサーの父を持ち、小さなころから数々の犯罪に手を染め、少年院や刑務所で過ごした後、軍に入っても上官を殴り、脱走。

 

「色々やってみたけれど、駄目だったんだ。どうしようもないんだ」みたいなセリフがあったけれど、どこかで変わるきっかけがなければ、友人たちのように事件に巻き込まれて死んだり、ずっと刑務所で暮らすことになってしまう。

 

ロッキーには、反発していた父親の職業であったボクシングがそのきっかけとなった。

 

ボクシングはスポーツだとわかっていても、見ていて痛々しくて、素直に賛成できないロッキーの母親や彼女の気持ちも痛いほどわかるし、でもそれがロッキーのために必要なものであるのだから応援しなければならないと考えるつらさも想像できる。

 

原題の“Somebody Up There Likes Me”が、主人公の心の願いを表しているようで、邦題とのニュアンスの違いを感じるなぁ。