きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『ジャッジ 裁かれる判事』 ~法廷物だけどそれだけじゃない、父と息子の葛藤を描いた心動かされる作品。

 

厳格な判事の父と反発する息子、そして裁判にかけられる父…

 

あらすじ

““金で動くやり手弁護士”ハンク。そんな彼にとって弁護士史上最高難度の事件が舞い込む。人々から絶大な信頼を寄せられる判事ジョセフが、殺人事件の容疑者として逮捕。しかも彼は、ハンクが最も苦手とする絶縁状態の父親!法廷で42年間も正義を貫いた父が殺人など犯すはずがない──最初はそう確信していたハンクだが、次々と疑わしき証拠が浮上する。殺された被害者と父との歪んだ関係、亡き母だけが知っていた父の秘密、防犯カメラがとらえた不可解な映像──。裁判は劣勢に傾いていくのに、犬猿の仲の2人は弁護の方針を巡って激しく対立する。果たして、父は殺人犯なのか? 深い決意を秘めた父の最後の証言とは──?”

出典元:『ジャッジ 裁かれる判事』公式サイト

 

 

 

作品情報

原題:The Judge

監督:デイビッド・ドブキン

出演:ロバート・ダウニーJR.

ロバート・デュバル

ベラ・ファーミガ

ビンセント・ドノフリオ

ビリー・ボブ・ソーントン

製作年:2014年

 

感じたこと          

ロバート・ダウニーJR.がインタビューで、この映画はジャンルで言うと法廷ドラマだけど、ある男が故郷に帰る話だとも言えると述べていた。

 

確かに、登場人物は弁護士や判事だし、事件の裁判を巡るストーリーだけれど、親子の確執や誤解、兄弟の感情、様々な思いが重なり、絡み合うドラマ。

 

父に認めてもらいたいと願っていたのに見放されたことへの反発。

かつての自分が悪かったことはわかっているけれど、頑張っても認めてもらえないことへの不満。

 

法廷を舞台とした、父と息子のつながりを描いた話だと感じた。

 

最後はもう、号泣…

 

相手の検事の癖のある感じがすごく気になって調べてみたら、ビリー・ボブ・ソーントンって『シンプルプラン』に出ていたお兄ちゃんだ!

 

『シンプルプラン』であのコミュ障で不器用なジェイコブをすごい演技力で演じているのを見て、もう胸がざわざわして仕方なかったのを思い出した。

 

 

話は変わり、法廷といえば、先日、裁判の傍聴に行ってきた。

 

裁判員裁判が始まって何年にもなるが、いまだに選出されず、「裁判所」というものに足を踏み入れたことがなかったので、一度は裁判を実際にこの目で見たいと思い地方裁判所に行った。

 

傍聴した裁判は、子供を自宅のトイレで産み落としたという殺人事件の第2回公判だったのだけれど、日本の法廷ドラマと同じように紫の風呂敷に資料を包む検事とか、裁判官の法衣とか、初めて見る手錠と腰縄とか、映像で見たことはあっても現実感のなかった世界がそこにあった。

 

被告の友人や母親に対する証人尋問を見て、その事件がなぜ起きたのか、防ぐことはできなかったのかなど、いろいろなことを考えた。

 

いつ自分が事件に巻き込まれるかなんてわからない。

 

当事者になるかもしれないし、証言をしなければならない状況になるかもしれないし、裁判員にならなければならないかもしれない。

 

人を裁くことの重みを感じながら仕事をしている弁護士や検察官、裁判官。

 

想像できないくらいのプレッシャーや気持ちを抱えているのだろう。

 

結局、この事件の裁判は1度しか傍聴に行けなかったが、今後機会を見つけて、最初から最後まで、一つの事件を傍聴してみたい。