『神様のボート』江國香織 <新潮文庫の100冊> ~母の恋愛、娘の自立
新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第30弾
『神様のボート』
著者:江國香織
発行年:2002年
あらすじ
“昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの”“神様のボートにのってしまったから”――恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遥かな旅の物語。”
出典元:新潮社
感じたこと
「The 恋愛小説」はあまり好きではない。
江國香織は私の中では辻仁成と同じイメージで、どうも入り込めない気がして、読まず嫌いだった。
今回、読んでみたけれど、読まず嫌いはやっぱりもったいないなと感じた。
もちろんベースに狂おしい恋愛があって、その恋愛の結果として草子が生まれているのだけれど、草子の心の成長、自我、自立がしっかり描かれていて、恋愛の話よりも、そこに惹きつけられた。
あとがきで『小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です。そして、いままでに私の書いたもののうち、いちばん危険な小説だと思っています。』とあるけれど、狂気と恋愛は、本当にわずかの違いなんじゃないかな。
ずっと読まず嫌いになっている辻仁成も、これをきっかけに改めて何か読んでみたら、印象が変わるかもな。
そうやって違う視点を考えることができるという点で、わたしの<新潮文庫の100冊よむぞチャレンジ>はトライしてみて良かったなとつくづく思う。
まだ70冊あるけど(笑)