『アリスのままで』 ~若年性アルツハイマーに侵されたら、私ならどうするのだろう…
自分のことがわからなくなる、その未来を知った時、わたしなら何をしたいと思うのだろう。
あらすじ
“50歳のアリスは、まさに人生の充実期を迎えていた。高名な言語学者として敬われ、ニューヨークのコロンビア大学の教授として、学生たちから絶大な人気を集めていた。 夫のジョンは変わらぬ愛情にあふれ、幸せな結婚をした長女のアナと医学院生の長男のトムにも何の不満もなかった。 唯一の心配は、ロサンゼルスで女優を目指す次女のリディアだけだ。ところが、そんなアリスにまさかの運命が降りかかる。 物忘れが頻繁に起こるようになって診察を受けた結果、若年性アルツハイマー病だと宣告されたのだ。その日からアリスの避けられない運命との闘いが始まる―。”
出典元:ポニーキャニオン
作品情報
原題:Still Alice
監督:リチャード・グラッツァー、ウォッシュ・ウェストモアランド
出演:ジュリアン・ムーア
アレック・ボールドウィン
クリステン・スチュワート
ケイト・ボスワース
ハンター・パリッシュ
製作年:2014年
感じたこと
若年性アルツハイマーを扱った映画ですぐに思いつくのは、韓国映画の『私の頭の中の消しゴム』や渡辺謙主演の『明日の記憶』。
どちらもこの病気の残酷さを感じて苦しくなったけれど、
この『アリスのままで』は主人公の年齢や状況が、より自分に近く、
自分だったらどうするだろう、何ができるだろう、何をしたいだろう…と
いろいろなことが頭によぎる。
ジュリアン・ムーアって素敵な女優さんだな、と意識したのが『めぐりあう時間たち』。
あの時は、深い感情を押し殺しながら暮らす主婦を演じていて、揺れる気持ちが痛いほどに表現されていた。
今回は、母として若年性アルツハイマーをどう受け入れていくのか。
自分のキャリアや家族の生活。
「わからなくなる」ことへの恐怖、その覚悟。
また、3人の子供たちと母親との関係性も、印象的。
しっかりものの長女と、自由で夢を追う次女、少し醒めている医学生の長男。
それぞれのキャラクターがきちんと描かれているから、
母の症状が進んでいくときの景色に深みがあるんだろうな。
話は変わって、映画で出てくるアルツハイマーの診断に使われる記憶テスト。
複数の言葉を暗記して、少し違う会話をしてから、さっきの何でした?と尋ねたり、
テーブルの上のものを覚えて、布などで隠して、少し時間をおいてから何が変わっているかを答えさせたり。
短期記憶が非常に苦手なわたしは、昔からこの手の記憶テストに恐怖心がある。
TOEICなどのリスニングでも、2つくらい会話が続いたら、最初に何の話をしていたか忘れてしまうし、
英語の勉強で、英語を聞きながら書き取るというディクテーションをしても、びっくりするくらい、右から左に抜けていってしまう。
実際に自分がこのようなテストを病院で受けることになったら、
「昔からなんです!若い時から記憶力ないんです!だから大丈夫なはずです!」
なんて、言い訳を言ってしまいそう…