『ツバキ文具店』と『キラキラ共和国』小川糸 ~代書屋を営なむ鳩子の鎌倉での生活を描く、人に優しくなりたいと感じる読んでいて温かくなる物語。
先日、『キラキラ共和国』を読んだので、数年前に読んだ『ツバキ文具店』とともに感想を少し。
『ツバキ文具店』
著者:小川糸
発行年:2016年
発行元:幻冬舎
あらすじ
“鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙……。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。”
出典元:幻冬舎
『キラキラ共和国』
著者:小川糸
発行年:2017年
発行元:幻冬舎
あらすじ
“「ツバキ文具店」は、今日も大繁盛です。 バーバラ夫人も、QPちゃんも、守景さんも、みんな元気です。 みなさんのご来店をお待ちいたしております。――店主・鳩子 亡くなった夫からの詫び状、川端康成からの葉書き、 大切な人への最後の手紙……。 伝えたい思い、聞きたかった言葉、 「ツバキ文具店」が承ります。”
出典元:幻冬舎
感じたこと
『ツバキ文具店』を読んだきっかけは、ドラマ化されるという情報を得たことだった。
本を原作とした映画化やドラマ化がある時、まずは映像を見ないで、本を読みながらその世界を自分の頭の中で想像したいと思う。
また、そのような話があるということは、(自分が好きか嫌いかは置いといて)そんなに「はずれ」を引くことはないだろうと考え、読むことが多い。
小川糸の作品を読んだのは『ツバキ文具店』が初めて。
わたしは実際に鎌倉を訪れたことはないけれど、
いろいろな映画やドラマやドキュメンタリー、小説などでイメージされる
鎌倉という町のもつ魅力がこの本に欠かせないものなのだろうな。
『ツバキ文具店』で鳩子が出会ったミツローさんやQPちゃん。
その続編の『キラキラ共和国』。
どちらも、たくさんの登場人物がでてくるけれど、
みんな個性的で、そしてあたたかい。
読み終わったあとに、ほっこりと、丁寧にほうじ茶を入れようかな、という気持ちになった。
昔の識字率が高くなかった時代であれば「代書屋」という職業があることも十分理解できるけれど、
それを今の時代に当てはめるのか、と不思議に思っていたら、
昔の「代書屋」は、実際には現在の「行政書士」や「司法書士」に当たるらしい。
でも、このお話に出てくる「代書屋」は、手紙を出したい人の話を聞いて、その人の気持ちになって、紙やペンまで選んで、文字のイメージまで考えて、手紙を代わりに書くお仕事。
わたしが子供の頃には、まだ手紙のやりとりは普通にあって、
小さなころにはかわいいレターセットが宝物だったりしていたな。
大きくなってから、連絡手段はメールが主で、手紙を書くことがほとんどなくなっても、
大きな文具店などで、ちょっと変わった紙の便箋などを見るのは今でも楽しい。
子供の頃に習字を習っていたにもかかわらず、ものすごい悪筆なので、
大人になった今、あらたまって手紙を書くのを躊躇してしまう。
でも、文字ってその人が出る部分、やっぱりあるよなぁと感じたので、
まずはちょっとしたもの、例えば手帳に書き入れる文字からでも、少し丁寧に書いてみようかな。