翻訳と英語力
翻訳は、その対象となる言語が喋れるからと言って、仕事として通用するわけではない。
また、TOEICのスコアが高いとか、英検1級を持っているとか、
英語の資格を持っているだけで優れた翻訳ができるわけでもない。
ただ、大前提として、その言語を理解できるだけの力は必要。
必須ではないものの、TOEICや英検はその基礎力を図る客観的な指標と考えることができるのではないか。
翻訳の求人では、英語の資格を条件としているところもある。
オンサイトの求人ではそれほど高いスコアを求めない場合もあるが、
応募条件として「TOEICスコア900、英検1級程度の英語力」を求めている企業もある。
しかしこれはあくまで理想だろう。
わたしがオンサイトのチェッカーを始めた頃のスコアは800前後。
英語力の確認のために、数年ごとにTOEICを受けているが、
昨年受けたTOEICは895。
内訳は、Listeningが425、Readingが470。
あまりにもListeningが不得意で、いまだに900を超えたことがない。
翻訳に興味があって、仕事として考えているのであれば、まずはTOEIC 800前後の英語力を目標にしてみるとよいのではないだろうか。
それくらいのスコアをとると、チェッカーやオンサイトの翻訳などの求人に応募しやすくなり、一歩を踏み出すきっかけをつかみやすくなると思う。
ただし、英語力は「大前提」であり、実際に仕事に必要となるのは専門知識や表現力、調査力など。
もちろん、優れた文章を書くことが得意な人は、そのこと自体がアピールポイントとなるが、文章力に特別な自信がなくても、専門知識を積み上げていくことで理解力を高めることができるし、わからないことが出てきたときに、どこをどのように調べればいいかという勘を働かせることができるようになる。
英語の勉強と並行して、自分は何を専門分野とするのかを考え、その分野の勉強を進めることも大切。
わたしの場合、英語を仕事としているのだから、TOEIC 900は超えておきたいなと密かに思っているが、そのためにはListeningの対策が必須になる。
しかし、自分の時間で優先順位をつけた場合、いまの自分に必要なのはTOEIC対策ではなく、専門知識や教養を広げることだと思っている。
資格がなくても翻訳はできるが、その分野を体系的に勉強する手段として資格取得のための勉強は役に立つと考えているので、今後、興味を広げ、いろいろな分野の資格にもチャレンジしていきたい。