『野火』大岡昇平 <新潮文庫の100冊> ~戦争の残酷さを改めて感じる
新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第44弾
『野火』
著者:大岡昇平
発行年:1954年
あらすじ
“敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作である。”
出典元:新潮社
感じたこと
大岡昇平自身がフィリピンで米軍の捕虜となっていて、体験に基づく描写がとてもリアル。読みながら主人公や周りの息遣いまで感じられるようで苦しい。
極限状態にありながら、生きること。
人肉を食べるという衝撃的な面が大きく取り上げられるけれど、それに至る、日常の生活では想像もできないような状態。
その状態を作り出してしまう戦争。
自分が戦争を体験していないことは幸せなことだし、だからこそ、子供たちの世代にも戦争を体験させたくない。
そのためには、こういう形で折に触れ、戦争について考えることが必要なんだと思う。