きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『ソロモンの偽証』宮部みゆき <新潮文庫の100冊> ~同級生の死に対して行動を起こす高校生の強さ

 

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第42弾

 

『ソロモンの偽証』

著者:宮部みゆき

発行年:2012年

 

あらすじ

“二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒達を差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、クラスメイトはなぜ死んだのか。なにもわからないままでは、あたし達は前に進めない。だったら、自分達で真相をつかもう――。そんな藤野涼子の思いが、周囲に仲間を生み出し、「学校内裁判」の開廷が決まる。次第に明らかになる柏木卓也の素顔。繰り広げられる検事と弁護人の熱戦。そして、告発状を書いた少女が遂に……。夏、開廷の日は近い。”

出典元:新潮社

 

感じたこと

 

単行本では3冊、文庫本では6冊とかなりのボリュームで、宮部みゆきで読みやすいだろうというイメージがなければ、読み始めるのに勢いが必要になるほどの分量。

 

高校生が学校の中で本当の事件の模擬裁判を行う、という現実には起こらないであろう設定で話が進んでいくが、生徒だけではなく先生の心の問題やマスコミの一面的な報道などにも触れていて、物語の厚みがさすがという感じ。

 

結末に至るまでのストーリーそれ自体よりも、取り巻く環境や小さな出来事の積み重ねが興味深かった。