『ひとつむぎの手』 知念実希人 ~ミステリーというよりも、人との関わりに悩み試行錯誤していく医者の物語
『ひとつむぎの手』
著者:知念実希人
発行年:2018年
あらすじ
“大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば……。さらに、赤石を告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。医療ミステリーの旗手が挑む、スリリングなヒューマンドラマ!”
出典元:新潮社
感じたこと
怪文書の犯人を捜すミステリーの要素はあるけれど、心臓外科医の平良の心の動きを描くことがメインの作品。
研修医に対する接し方に悩んで、失敗して、反省して…という人との付き合い方の試行錯誤の過程は共感できる部分も多い。
医者という過酷な仕事でさらに人間関係に悩むなんて、想像できないほどのストレスだろう。
子供の頃に「将来、お医者さんになりたい!」なんて夢見たこともあったが、勉強面はもちろんのこと、精神的な面でも私には厳しい仕事だろうな。
研修医達のキャラクターが現実味に欠けている感じを受けたけれど、途中で休ませることなく一気読みさせる展開。