きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『残穢』小野不由美 <新潮文庫の100冊> ~伝播する「穢れ」が引き起こす怪奇現象

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第29弾

 

『残穢』

著者:小野不由美

発行年:2015年

 

あらすじ

“この家は、どこか可怪(おか)しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢(けが)れ」となり、感染は拡大するというのだが――山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!”

出典元:新潮社

 

感じたこと

ホラー系の小説は、ほとんど読まない。

 

私はこの世の中で人間が一番怖いと思っていて、霊とか祟りとかを信じていないからなのか、ホラー映画もびっくりしたりドキドキしたりはするけれど、見た後に何かの音が聞こえる気がするかも…なんて心配するようなことも全くない。

 

この作品も、前のめりでどんどん夢中になって読み進めていく感じにはならなかった。

 

でも、その恐ろしい状況が鮮やかに思い浮かべることができるような描写はさすが。

 

金の刺繍が施された帯が畳に擦れる音とか、壁から子供が湧き出てくる様子とか、映画を見ているように想像できてしまう。

 

展開も丁寧だし、ホラー好きの人にはたまらないだろうな。