『山月記』中島敦 ~虎になってしまった李徴に重なる部分を心に抱える人は多いのでは
『山月記』
著者:中島敦
発行年:1942年
あらすじ
“詩人をめざしながら、その尊大な性格のために自らの才能を磨くことを怠った李徴は、月に咆哮する虎と化す…。”
出典元:集英社
感じたこと
以前、カフカの『変身』を読んだ時に、この『山月記』との対比についての記事をいくつか見つけた。
『山月記』は高校の教科書に載っているはずなので、勉強している(はず)なのに、内容についてはほとんど記憶に残っていなかった。
実際読んでみると、漢文調の文章と、その語注の多さに戸惑う部分もあったが、不思議にぐいぐい読めてしまう。
“人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。”
この一文にはどきっとした。
短いながらも、きっと読み返すたびに、その年齢によって感じ方が大きく変わる作品だと思う。
高校生の私には、きっと響かなかったから覚えていないのだろうけれど、年を重ねた今だからこそ、複雑な思いを感じながら読むことができた。