きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『博士の愛した数式』小川洋子 <新潮文庫の100冊> ~80分しか記憶がもたない博士と家政婦、息子の心の結びつき

 

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第21弾

 

『博士の愛した数式』

著者:小川洋子

発行年:2005年

 

あらすじ

“[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。”

出典元:新潮社

 

感じたこと

以前にも読んだことがあったけれど、新潮文庫の100冊ということで再読。

 

80分しか記憶を持たないという博士の家に家政婦として働くシングルマザーの「私」。

 

大学教授だった博士はあらゆる数字を数学的に説明していく。

 

小学生の息子が家で留守番をしていることを博士が心配し、学校から帰った息子は博士の家で過ごすようになる。

 

その息子と博士のやりとりがなんとも微笑ましい。

 

ものすごく数学が苦手で数字を見ると思考停止してしまう私でも、この本で博士が説明しているように数字を見ると、自然数、公約数、完全数などが美しく見えてくるから不思議。

 

年齢とか性別とか職業とか関係なく、相手を思いやることではぐくまれた友情。

 

素敵な話だった。