きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『遠くの声に耳を澄ませて』宮下奈津 <新潮文庫の100冊> ~それぞれの日常にあるそれぞれに特別な思いを紡ぐ短編集

 

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第15弾

 

『遠くの声に耳を澄ませて』

著者:宮下奈津

発行年:2009年

 

あらすじ

“瑞々しい感性と肌理細やかな心理描写で注目される著者が紡ぎ出す、ポジティブな気持ちになれる物語。看護師、会社員、母親。その淡々とした日常に突然おとずれる、言葉を失うような、背筋が凍るような瞬間。どん底の気持ちを建て直し、彼らが自分ひとりで人生に決断を下すとき、何を護り、どんな一歩を踏み出すのか。人生の岐路に立つ人々を見守るように描く、12編の傑作短編集。”

出典元:新潮社

 

感じたこと

思い出、過去の自分、現在の自分の意識が行きかう『どこにでも猫がいる』。

 

当然のことなんだけれど、つらいことも楽しいことも、自分がそれまでたどってきたすべてが絡み合って今の自分を作り上げている。

読みながらカルダモンの香りを思い出して、ホットワインが飲みたくなった。

 

『ミルクティー』も、心に残った。

恋とかじゃなくても、心から誰かに何をしてあげたいと思う気持ちがあると気づいたのは、私はかなりの年齢を重ねてからだった。

 

この短編ではあたたかなミルクティーだけれど、そんな気持ちを持てるような、人の気持ちに対する創造力を忘れないでいたい。