『彼女は頭が悪いから』姫野カオルコ ～東大生による強制わいせつ事件をベースにしたフィクション
『彼女は頭が悪いから』
著者：姫野カオルコ
発行年：2018年
あらすじ
“私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの？
深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。
現実に起こった事件に着想を得た衝撃の書き下ろし「非さわやか100%青春小説」！
横浜市郊外のごくふつうの家庭で育った神立美咲は女子大に進学する。渋谷区広尾の申し分のない環境で育った竹内つばさは、東京大学理科1類に進学した。横浜のオクフェスの夜、ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。しかし、人々の妬み、劣等感、格差意識が交錯し、東大生5人によるおぞましい事件につながってゆく。”
出典元：文藝春秋
感じたこと
実際に起きた事件が報道されたとき、その行為の卑劣さから世間の注目が集まった。
その事件に着想を得たフィクションなのだから、読む前から気分が悪くなるような話の展開になるのはわかっていたのだけれど、被害者、加害者のどちらの視点でどのように話を作っているのかに興味があって読んでみた。
フィクションではあるが、事件の大まかな流れはそのまま。
フィクションだと言い聞かせながら読むけれど、逆にどこまでが事実に即しているのかが気になって、話に入り込めなかった。
読み終わった後も、フィクションとしての感想と、実際の事件についての感想が自分の中でごちゃ混ぜになって、上手く整理することができない。
ただ、事実関係については加害者も裁判で認めているし、事件そのものについて被害者は決して責められるべきではない。
その意識が広がる世の中であって欲しい。
