きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

『じっと手を見る』窪美澄 ~恋愛だけではなく、若者の「生きることのもどかしさ」がにじみ出る作品

『じっと手を見る』

著者:窪美澄

発行年:2018年

 

あらすじ

“大切な人を、帰るべき場所を、私たちはいつも見失う――。読むほどに打ちのめされる! 忘れられない恋愛小説 富士山を望む町で介護士として働く日奈と海斗。老人の世話をし、ショッピングモールだけが息抜きの日奈の生活に、ある時、東京に住む宮澤が庭の草を刈りに、通ってくるようになる。生まれ育った町以外に思いを馳せるようになる日奈。一方、海斗は、日奈への思いを断ち切れぬまま、同僚と関係を深め、家族を支えるためにこの町に縛りつけられるが……。”

出典元:幻冬舎

 

 

感じたこと

 

「人を想う」って、自分の中だけで完結できればいいのに、相手からの「想い」を期待するから、すれ違う。

 

日奈と海斗の関係もそう。

 

田舎町で介護士として働く若者の目を通して、恋愛だけじゃなく、現状の生活から自分達の力で抜け出していけないもどかしさも描かれている。

 

恋愛ものというよりは、もがいている若者の話だと、私は感じた。