『未来』湊かなえ ~大好きなパパを亡くし、「人形」になってしまうママと暮らす章子のもとに、未来の自分からの手紙が届く
『未来』
著者:湊かなえ
発行年:2018年
あらすじ
“大好きなパパを病気で亡くし、たまに感情表現を失い人形のようになってしまうママと一緒に暮らす小学生の章子(あきこ)のもとに一通の手紙が届く。〈一〇才の章子へ〉で始まるその手紙の送り主は、20年後の未来の自分だという。その証拠として、10周年を迎えたばかりの「東京ドリームマウンテン」の30周年記念グッズも同封されていた――。”
出典元:朝日新聞社 好書好日
感じたこと
単行本で445ページ。
厚みがある本だけれど、一気読み。
最初の章子の返事を読みながら、息苦しくなっていって、エピソードIそしてその後へと進んでいくと、胸につかえるような重みを感じた。
今までの湊かなえ作品も明るいテーマではないけれど、この作品は特に重く、つらい。
本の帯に「長編ミステリー」と紹介されている。
読み進める中でそれぞれのストーリーが複雑に絡み合い、手紙の送り主は誰なのかを考えながら読むという点では確かにミステリーだけれど、実際には、必死に生きるつらい家族の話だと思う。
友達、親子、学校、恋人。
手放すことができる関係。どうしても切ることができない関係。
大人になって自分で選択ができるようになるまで、その暗闇にもがく子供たちは、どうすれば助かるのだろう。
章子は未来の自分に手紙の返事を書くことを、自分の支えにしていた。
その子にとって支えとなる何かを見つけて欲しい。現実の世界でも。