きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

翻訳者の収入

 

翻訳の仕事に興味を持ち始めた時、翻訳業界の雑誌などでどのくらいの収入が見込めるのか調べてみた。

 

翻訳を仕事にするようになった今、その時読んでいたような雑誌の同じような特集記事を読んでみても、「平均」とされるデータと比較して、分野や働き方でかなり違っている。

 

まず、翻訳はざっくりと、

書籍の翻訳出版にかかわる「出版翻訳」

映画やテレビなどの作品を扱う「映像翻訳」

ビジネスで扱う文書を対象とする「実務翻訳」

に分けることができる。

 

働き方に関しても、企業の中で派遣社員などの形で働く「オンサイト」や在宅でフリーランスの形で働くこともある。

 

業界全体や出版翻訳などについては、実際のところがわからないので、ここでは自分自身の体験について述べていきたい。

 

 

わたしは、前述の分け方で言えば、「実務翻訳」にかかわるフリーランス。

経済・金融分野を中心に、英日翻訳と一部チェック業務も引き受けている。

 

クライアントとの直接取引はしたことがなく、すべて翻訳会社に登録し、翻訳会社経由で受注している。

 

翻訳会社に登録するには、通常は履歴書等の提出後、トライアルという登録試験のようなものを受け、合格すれば、登録。

 

案件が決まっていて、その仕事に対する募集がかかっている場合などを除き、通年で募集しているような場合は、登録後に翻訳会社のコーディネーターがその案件に適していると思われる翻訳者に声をかけ、納期やレートなどで合意した場合に、その案件を受注することになる。

 

レートについては、基本的に、登録時に話し合って決められる。

 

出来上がりベース(英日翻訳であれば訳文400文字あたり何円など)の場合と原文ベース(翻訳元の原稿の1ワード当たりの単価)の場合があり、今は原文ベースで計算する場合の方が多いのではないだろうか。

 

初めて登録した頃は、レートを交渉できるだけの実力も実績もないので、翻訳会社側から提示されたレートで契約した。

 

ある程度の年数がたってからは、最初の登録時に「*円以上での受注を希望します」とこちらの意見を述べたり、1年以上、かなりの分量の取引をしたが他の会社と比べてあまりにもレートが低い会社には、レートを引き上げて欲しいと交渉したりしている。

 

ただ、レートを途中で上げるには、こちらが言い出すタイミングをどうするか、どのように話を持っていけばいいのかなど、わたしには考えることがたくさんありすぎて精神的にしんどかった。

 

このご時世、よほどの高品質の納品が続いて絶対に離したくないと思わせる翻訳者でない限り、翻訳会社側もそうそうレートの引き上げを提示しては来ないと思うので、最初の登録時のレートが基本的には続くと考えたほうがいいと思う。

 

これまでいくつもの翻訳会社に登録したが、登録だけで1度も仕事を受けていない会社も多い。

 

現在、実際に定期的に翻訳を受注している会社は5社。

 

重なる時には何社からも仕事の依頼が続くし、ぱったり途切れると、「前回の納品で何かやらかしただろうか」「もう仕事こないんじゃ…」などと不安になる。

 

安定した収入は精神的な安定にもつながると考えているので、定期的な案件などの受注を増やし、「次も頼みたい」と思われる訳文を納品し続けるようにしていきたい。