きすけろぐ

翻訳者きすけの頭のなか

読書

『たゆたえども沈まず』原田マハ ~19世紀の終わりのパリ。浮世絵を扱う日本人画商とゴッホや弟のテオとの心の交流。

ゴッホと日本人の心のつながり 『たゆたえども沈まず』 著者:原田マハ 発行年:2017年 あらすじ “誰も知らない、ゴッホの真実。 天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、商才溢れる日本人画商・林忠正。 二人の出会いが、〈世界を変える一枚〉を生んだ。 …

『スケルトン・キー』道尾秀介 ~サイコパスを描くダークサイドのサスペンス

児童養護施設で育った僕には、母からスケルトン・キーだけが残されていた… 『スケルトン・キー』 著者:道尾秀介 発行年:2018年 あらすじ “僕に近づいてはいけない。 あなたを殺してしまうから。 週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。…

『傍流の記者』本城雅人 ~新聞記者たちのプライドと出世を描いた「The 男社会」な物語

『傍流の記者』 著者:本城雅人 発行年:2018年 あらすじ “優秀な記者ばかりがそろった黄金世代。しかし、社会部長になれるのはひとりだけだった。生き残っているのは得意分野が違う五人の男。部下の転職や妻との関係、苦悩の種に惑いながら出世レースは佳境…

『屍人荘の殺人』今村昌弘 ~本格ミステリ好きには評判の第27回鮎川哲也賞受賞作。しかし私には…

『屍人荘の殺人』 著者:今村昌弘 発行年:2017年 あらすじ “神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメ…

『貘の檻』道尾秀介 <新潮文庫の100冊 2018> ~読み終わった後に暗い地下水路や田舎の景色が頭から抜けていかない闇深いミステリー

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第4弾 『貘の檻』 著者:道尾秀介 発行年:2017年 あらすじ “1年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、…

『百貨の魔法』村山早紀 ~百貨店を舞台にした人と人とのつながりを柔らかに描いた物語

百貨店で繰り広げられる、人と人との優しいつながり。 『百貨の魔法』 著者:村山早紀 発行年:2017年 発行元:ポプラ社 あらすじ “時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品…

『危険なビーナス』東野圭吾 ~設定に無理があるような気がしても、それでもいつものように一気読みしてしまう、さすがな東野圭吾作品

あらすじ “弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である弟の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てば経つほど、彼女に惹かれていく。” 出典元:講談社 危険なビーナ…

『月の上の観覧車』荻原浩 <新潮文庫の100冊 2018> ~それぞれの気持ちが丁寧に描かれた8つの短編集

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第3弾 『月の上の観覧車』 著者:荻原浩 発行年:2011年 あらすじ “閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記…

『ツナグ』辻村深月 <新潮文庫の100冊 2018> ~一生に一度だけ、死者と再会できる。私なら、誰を選ぶだろう。

新潮文庫の100冊読むぞシリーズ第2弾 『ツナグ』 著者:辻村深月 発行年:2010年 あらすじ “一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親…

『海と毒薬』遠藤周作 <新潮文庫の100冊 2018> ~戦争末期に行われた捕虜に対する生体解剖事件。特殊な環境で起こった特殊な事件なのか。倫理観とは。

夏になると書店で無料配布している新潮文庫の100冊のパンフレット。 www.100satsu.com 本文から1文が抜き出され、短い文章で本が紹介されていて、パラパラ見るのを楽しみにしている。 新潮文庫にこだわっているわけではなくて、角川文庫のカドフェスでも集英…

『ツバキ文具店』と『キラキラ共和国』小川糸 ~代書屋を営なむ鳩子の鎌倉での生活を描く、人に優しくなりたいと感じる読んでいて温かくなる物語。

先日、『キラキラ共和国』を読んだので、数年前に読んだ『ツバキ文具店』とともに感想を少し。 『ツバキ文具店』 著者:小川糸 発行年:2016年 発行元:幻冬舎 あらすじ “鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼…